「階」 [書棚の中の1冊]
この本は歌手の谷村新司氏の書いた短編小説集です。谷村氏が小説を書いていることは全然知らなかったのですが、ある方がメルマガの中で紹介していたので興味を持ったのでした。
本の題名「階」(きざはし)は同名の曲からとったのでしょう。彼が書いたもう1冊の小説のタイトルは「昴」で、こちらも同名の有名な曲と同じです。
私がこの小説を読もうと思ったのは、先のメルマガで「音楽にまつわる感動的な物語」と紹介されていたからです。この記事を書くにあたって、改めてどのような音楽的素材+アルファがちりばめられているのか、ちょっと拾い読みしてみました。
・おとぎ話とはオトのギ=音の儀=オトが伝えようとしている物語
・乙姫=音秘
・「蛍の光」は作者不詳ということだが、実は・・・
・三味線と三線
・おわら
・ヤマトはヘブライ語では「神の民」を意味する
・三味線はなぜ猫皮を使うのか、「13」という数字の意味
・水はデータの記憶装置
・イルカは「入化」、人間の反転した姿
・ドレミファソラシドとハニホヘトイロハ、なぜ「ド」は「イ」ではなく「ハ」なのか
・琉球音階に生きる人たちのテーマは火と星を学ぶこと
こんな感じです。
あくまで小説ですから、これらのテーマを細かく解説しているわけではなく、巧みにストーリーの一部として織り込まれているのです。ウンチク集として読んでも楽しいかもしれません。でもそれではもったいない。読んでいて、思わず涙がにじんできたり、ほのぼのとした気持ちになったり、とても素敵な小説です。何度も読み返してみたくなる、そんな1冊です。
2012-06-03 14:30
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