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思いつくまま楽譜を読む練習 (2) [音楽アラカルト]

「思いつくまま楽譜を読む練習」の後半です。以下、私が気が向いたときに行っている練習やちょっとした発見をご紹介します。「1日1時間のトレーニングメニュー」のようなものではありません。

(1)音程・音高のサンプル集め

ここでいうサンプルとは、例えば「完全5度上行が使われている曲の例」とか「レの音から曲が始まる曲の例」のような実際の例を収集するということです。集めるといっても、1オクターブ内に音は12音しかないわけで、膨大なストックを集めるという必要はありません。

これは毎回の練習メニューではなく、「これは!」と思う曲があったらその都度楽器で確認して少しずつ集めていくという感じです。器楽曲よりはボーカル曲のほうがわかりやすい気がしますが、それも好みです。

音程のサンプルは「楽典」「楽譜の読み方」の類の本に実際の譜例が紹介されたりしています。その例がピンとくるものであればそれでいいし、他にもっと自分のお気に入りの曲があればそちらをサンプルにするのがよいでしょう。

一方、音高のサンプルは市販の書籍にはあまり紹介されていないようなので、自分でその都度集めてストックを増やしていく必要がありそうです。

音高のサンプルについては実際に歌手が歌っているピッチではなく、自分がその曲を歌うときのピッチでもよいと思います。これはどういうことかというと、不思議なことに、例えば私の場合「君が代」を鼻歌で歌おうとすると、大体「レ」から半音上下するくらいのピッチで歌い始めるのです。今日は「ド」、明日は「ファ」ということはあまりないのです。幼少からの何らかの記憶の名残かもしれません。

それから音高のサンプルというよりは基準音・基準ピッチですが、チューナーや音叉を用いて、暇なときに「ラ」音を鳴らしみるというのもいいかもしれません。私はチューナーと電子ピアノの基準音・基準ピッチをA=440ヘルツではなくA=444ヘルツにセットしています。

サンプル集めの目的は「記憶の助けとしてのキーを作る」ということです。「完全4度上行」といきなり言われてもピンとこないけれど、「蛍の光」の最初の部分を思い出せれば「ああ、あれね、あれが完全4度なんだ」と覚えやすくなるわけです。

何かの試験対策や知識の増強が目的ではないので、「○○度」のような用語はどうでもいいのです。ですから計算が好きな人は「完全4度」といわずに、「半音5ステップ」とか「5S」のような言葉をキーにしてもいいと思います。

(2)音高当て遊び

「音高のサンプルを集める作業」に関連したお遊びで、根を詰めて真剣にやるようなものではありません。でも続けているとある程度までの精度は出てくるようです。

クロマチックチューナーを用意しておきます。私の使っているものは音が合っているときに光る赤ランプとより正確な表示をする針がついています。それで何をするかというと、気が向いたときにまずチューナーのマイクに向かって「アー」と基準音を発してみるのです。

調子の良いときは一発で赤ランプが点灯しますが、ちょっと気分不調や雑念が多いときは「ラ」のはずが「ファ」になっていたり、やってみると面白いものです。調子が良いときでも、針がピッタと真ん中を指すことはまずないのですが、このあたり、「絶対音感保持者」という人はどうなのでしょうか。私にはなれそうもありません。

基準音以外にも自分が集めたサンプルを歌ってみて、ピッチを確認してみます。クロマチックチューナーを用いれば音程の確認もできます。

(3)楽譜を眺めいて気づいたこと

シャープ・フラット恐怖症の克服のためにと考えついたこと、それはとにかく楽譜に慣れること。といっても根性論ではありません。

テキストとして「バーナムピアノ テクニック 全調の練習」を用います。この教本には異名同音等も含めて32曲の練習曲が載っており、シャープ7個、フラット7個の曲まであるのでばっちりです。ピアノの黒鍵は5つしかないので、シャープ5個、フラット5個までにトライです。

練習曲は10小節前後の短いもので、いかにも練習曲という感じです。音楽性で考えれば、ブルグミュラーやギロックのほうがいいのですが、別にピアノの練習をするわけではないし、そもそも私はピアノを習ったこともありません。

1日1曲という感じで読譜とピアノでの音の確認作業を続けていきます。

とりあえず楽譜を眺め続けて気がついたことが2つありました。どれも知っている人からすれば「当たり前じゃないか」ということのはずであり、ここで書くのも少し恥ずかしいのですが。

まず、シャープ・フラットに関してです。

シャープ・フラットがどのように増えていくかの規則とか、5度圏とか、そのあたりは楽典を読めばわかることです。それとは別に実際に楽譜を見るときのコツのようなものですが、
 シャープ系:楽譜のファとドのラインに注目する
 フラット系:楽譜のシとミのラインに注目する
というものです。ラインとは正確には「第○間」や「第○線」のことです。

そして、シャープ系で言えばシャープはファのラインとドのラインを交互に
 ファのライン:ファ、ソ、ラと上に向かってシャープに読み替えていく
 ドのライン :ド、レと上に向かってシャープに読み替えていく
となっている、だからファとドのラインに注目しておくということです。このことに気がついたことで、精神衛生上大分楽になりました。

次に音程に関してです。

これはどこかの本に書いてあったことなのですが、「楽譜から視覚的に主要な音程を把握するように意識しよう」という説明があったのです。小学校以来、学校の授業でそんなことは教えてもらったことがなく、「言われてみればなるほどね」という指摘であり盲点でした。というか音楽の授業で音程など意識したこともなかったような。

具体的には
 3度音程:音符を上か下に重ねた形
 5度音程:音符の間に音符1つ分のスペースを置いた形
 8度音程:音符の間に音符2つ分のスペースを置いた形
のような視覚的な情報に気づくということです。こういう視点で楽譜を見たことはこれまでなかったので、先の指摘は目から鱗でした。これだけでは半音の差までは読み取れないのですが、それは楽譜に注意書きすればよいことでしょう。

この2つの気づきだけでも、楽譜を読むことへのプレッシャーは大分減りました。

(4)ピアノを用いての練習

「バーナムピアノ テクニック 全調の練習」には各調の音階と短い練習曲が載っているので、ピアノを用いて実際にそれらの音を確認していく練習です。この練習で私なりにポイントとしているのは以下のことです。

(A)楽譜を読むときに音名ではなく、鍵盤のイメージと結びつける

多分ですが、大抵の人は(歌詞のない)譜面を渡されたら、「ド、ミ、ソ・・・」と音名で読もうとするのではないでしょうか。音楽の専門家ならドイツ音名かもしれません。これは無意識的に音符という視覚的シンボルを言語的シンボルと結びつける行為だと思うのですが、試行錯誤的にいろいろやってみて、どうもこれは具合が悪いようなのです。イタリア音名・ドイツ音名・和音名、あるいは移動ド・固定ド、どれも同じことです。

代わりに何をするかというと、鍵盤のイメージと結びつけるのです。これは音符という視覚的シンボルを鍵盤という同じく視覚的シンボルに結びつける行為で、言語的なものを介在させないのです。

どう具合が悪いかはうまく説明できないし、体験した範囲でも書いていると長くなるので、そういう感じがするという感想だけにとどめます。強いていえば、脳の使い方、よくいう右脳的・左脳的な違いのようなもので、実際やってみると脳の中の疲れる、ビリビリする部位が違う感じなのです。

現段階では音名で読もうとするクセがこびりついている、ほとんど無意識の習慣になってしまっている、それを実感しながらトライしています。

(B)鍵盤は一切見ない

楽譜を見るので目を閉じはしないのですが、ピアノの電源を入れた直後から鍵盤は一切見ません。つまり、どこまでも耳と指の感覚だけを頼りに一音、一音を味わいながら弾いていく感じです。そして、確証はありませんがいつの日か、音符ではなく鳴っている音自体と鍵盤イメージがダイレクトに結びつくのかもしれません。

この2つのポイントに気をつけて、一つの調で音階・音程・練習曲の順にピアノを用いて音を確かめていきます。ピアノの練習ではなく、とにかく徹底的に音を聴く、耳を働かせることに集中します。

終わりに

以上で思いつくままに行っている読譜の練習のご紹介を終わります。最後の(4)などは本当に成果のあがる練習なのかどうか自分でも半信半疑ですが、今のところやっていて楽しいので脳トレ気分で続けています。これまで続けてみての実感として、楽譜に対するアレルギーが軽減されたことだけは確かです。というより、楽譜に向き合うことが楽しくなってきています。それだけでも、私にとっては価値のある練習です。


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