楽譜(五線譜)、このやっかいなもの [音楽アラカルト]
趣味でコーラスに参加して楽譜というものに少し真剣に向き合わなくてはならなくなりました。改めて楽譜を読もうとすると、実に複雑というか、長い歴史の中でもう少し合理的な表記法に進化してもよさそうなものだと思えてなりません。
プロはもちろんアマチュアの方であっても、普通に何の抵抗も無く楽譜を読める人たちが、実に器用な人たちに見えます。まあ慣れてしまえば気にならないものなのかもしれませんが、私はまだまだ四苦八苦しています。
楽譜に表現すべき情報は簡単に言ってしまえば、「音の高さ」と「音の長さ」の2つだと思います。「音の長さ」の表記法はこんなものだろうと感じているのですが、「音の高さ」の表記についてはなんでこうなるのかと思わずにいられません。
私を悩ますそのいくつかをご紹介します。どうでもいい話ではあると思いますが、私が抵抗を感じてしまう部分をまとめてみました。
お断りしておきますが、以下の話は多分世の中の音楽の大半であろうと思われる西洋の調性音楽つまり長調や短調という調性をもつ音楽の記譜法に関する話で、無調性音楽や現代音楽、民族音楽の記譜法の話ではありません。
(1)調性記号について
音楽の要素のうちメロディーとハーモニーに関して、調性音楽では1オクターブ内に存在する12の音のうち、どの音を主音・基準音としてそれらを組み立てるかの指示が初めに必要です。これが調性記号(調合)です.たとえばファの音を基準として、長音階のメロディーを作るなら、五線譜の最初にフラット記号を一つ書いて、ヘ調であることを宣言します。
調性の指定にはシャープ記号(#)やフラット記号(♭)を用いるわけですが、これらの記号の数が増えてくると頭がクラクラしてきます。変ト調では♭が6つも使われます。
歌う立場でメロディーを追っていきながら、頭の中では「これはレではなく、レ♭だぞ」と読み替えていく作業は気が変になりそうです。ところが、これをピアノで弾く限りは、黒鍵を全部使って弾けばいいということで、演奏は楽譜の視覚的印象ほど複雑でなかったりします。
このあたりは移動ドと固定ドという楽譜の読み方の違いの話にもなってきますが、どちらも一長一短あるようです。
上に書いた「レ♭」は固定ドでドイツ音名で読むなら「Des(デス)」と読むので、「読み替え」という作業は必要ないでしょうが、その代わり、ドやレの音との高さの違いを正確に歌いわけられるだけの音感がないと実際上使えません。私がコーラスの楽譜を読む場合、移動ドで読むようにしています。
(2)臨時記号について
最初に宣言される調指定とは別に、曲中でも臨時に#や♭、さらにナチュラル記号が現れます。これらが使われる理由もいくつかあるようです。
・単純にメロディーやハーモニーに変化を持たせたいという文字通りの臨時の意味。
・楽譜の冒頭の調性記号はそのままにしておいて、一時的に他の調へ転調する場合。
・短音階の中の旋律的短音階や和声的短音階を表すための臨時記号で、これは臨時と言えるのかどうか。
要するに、演奏者は譜面中のある箇所で臨時記号がなぜ使われるのか、複雑な譜面の中から読み取れないといけないわけです。これら臨時記号が変ト調などと組み合わさったときには私の頭は機能停止するだろうと思います。
(3)音程を読み取ることの難しさ
2つの音の高さの差を音程といいますが、五線譜からはこの音程が視覚的に直感的に読み取れないのが致命的な気がします。
この説明のため少しだけ音程について触れてみます。
音程には全音程と半音程があります。調性音楽では1オクターブを12の音に分けます。ピアノの鍵盤で考えると隣合う鍵盤同士の距離・高さは短2度と呼ばれる半音程です。全音程は長2度と呼ばれる半音程2つ分の音程です。これはピアノの鍵盤では鍵盤一つ分を挟んだ音程です。そして、すべての音程はこの全音程と半音程の組み合わせです。
そして問題は五線譜ではパッと見ただけではこの半音分の高さの差が識別できないことです。
ハ調の長音階の音楽、要するにハ長調の楽譜で言えば、視覚的にはミとファの距離とソとラの距離は同じに見えますが、前者は短2度、後者は長2度の音程です。ここに調性記号や臨時記号が絡んでくると、その音程判定の難易度は…という話です。
「なんでこんなに複雑になっているの」というのが私の印象です。ネット上で「記譜法」というキーワードで調べてみると、私と同じようなことを考える方はいらっしゃるようです。五線譜よりもシンプルで見やすい記譜法はあるのですが、残念ながら今も今後もそれらが音楽界で主流になることはなさそうだということです。
五線譜よりこの記事のほうが難しいと言われなければいいのですが。
プロはもちろんアマチュアの方であっても、普通に何の抵抗も無く楽譜を読める人たちが、実に器用な人たちに見えます。まあ慣れてしまえば気にならないものなのかもしれませんが、私はまだまだ四苦八苦しています。
楽譜に表現すべき情報は簡単に言ってしまえば、「音の高さ」と「音の長さ」の2つだと思います。「音の長さ」の表記法はこんなものだろうと感じているのですが、「音の高さ」の表記についてはなんでこうなるのかと思わずにいられません。
私を悩ますそのいくつかをご紹介します。どうでもいい話ではあると思いますが、私が抵抗を感じてしまう部分をまとめてみました。
お断りしておきますが、以下の話は多分世の中の音楽の大半であろうと思われる西洋の調性音楽つまり長調や短調という調性をもつ音楽の記譜法に関する話で、無調性音楽や現代音楽、民族音楽の記譜法の話ではありません。
(1)調性記号について
音楽の要素のうちメロディーとハーモニーに関して、調性音楽では1オクターブ内に存在する12の音のうち、どの音を主音・基準音としてそれらを組み立てるかの指示が初めに必要です。これが調性記号(調合)です.たとえばファの音を基準として、長音階のメロディーを作るなら、五線譜の最初にフラット記号を一つ書いて、ヘ調であることを宣言します。
調性の指定にはシャープ記号(#)やフラット記号(♭)を用いるわけですが、これらの記号の数が増えてくると頭がクラクラしてきます。変ト調では♭が6つも使われます。
歌う立場でメロディーを追っていきながら、頭の中では「これはレではなく、レ♭だぞ」と読み替えていく作業は気が変になりそうです。ところが、これをピアノで弾く限りは、黒鍵を全部使って弾けばいいということで、演奏は楽譜の視覚的印象ほど複雑でなかったりします。
このあたりは移動ドと固定ドという楽譜の読み方の違いの話にもなってきますが、どちらも一長一短あるようです。
上に書いた「レ♭」は固定ドでドイツ音名で読むなら「Des(デス)」と読むので、「読み替え」という作業は必要ないでしょうが、その代わり、ドやレの音との高さの違いを正確に歌いわけられるだけの音感がないと実際上使えません。私がコーラスの楽譜を読む場合、移動ドで読むようにしています。
(2)臨時記号について
最初に宣言される調指定とは別に、曲中でも臨時に#や♭、さらにナチュラル記号が現れます。これらが使われる理由もいくつかあるようです。
・単純にメロディーやハーモニーに変化を持たせたいという文字通りの臨時の意味。
・楽譜の冒頭の調性記号はそのままにしておいて、一時的に他の調へ転調する場合。
・短音階の中の旋律的短音階や和声的短音階を表すための臨時記号で、これは臨時と言えるのかどうか。
要するに、演奏者は譜面中のある箇所で臨時記号がなぜ使われるのか、複雑な譜面の中から読み取れないといけないわけです。これら臨時記号が変ト調などと組み合わさったときには私の頭は機能停止するだろうと思います。
(3)音程を読み取ることの難しさ
2つの音の高さの差を音程といいますが、五線譜からはこの音程が視覚的に直感的に読み取れないのが致命的な気がします。
この説明のため少しだけ音程について触れてみます。
音程には全音程と半音程があります。調性音楽では1オクターブを12の音に分けます。ピアノの鍵盤で考えると隣合う鍵盤同士の距離・高さは短2度と呼ばれる半音程です。全音程は長2度と呼ばれる半音程2つ分の音程です。これはピアノの鍵盤では鍵盤一つ分を挟んだ音程です。そして、すべての音程はこの全音程と半音程の組み合わせです。
そして問題は五線譜ではパッと見ただけではこの半音分の高さの差が識別できないことです。
ハ調の長音階の音楽、要するにハ長調の楽譜で言えば、視覚的にはミとファの距離とソとラの距離は同じに見えますが、前者は短2度、後者は長2度の音程です。ここに調性記号や臨時記号が絡んでくると、その音程判定の難易度は…という話です。
「なんでこんなに複雑になっているの」というのが私の印象です。ネット上で「記譜法」というキーワードで調べてみると、私と同じようなことを考える方はいらっしゃるようです。五線譜よりもシンプルで見やすい記譜法はあるのですが、残念ながら今も今後もそれらが音楽界で主流になることはなさそうだということです。
五線譜よりこの記事のほうが難しいと言われなければいいのですが。
2012-03-23 17:27
コメント(2)
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たはは…まさに最後のひと言を感じてしまいました(^_^;)
実は自分も譜面読めません。
ハ長調の譜面ならわかりますが、他の調になると、譜面見ても初見はチンプンカンプンです。
子供の頃から歌は一度聞けば覚える方だったので、読めなくても困りはしませんでしたが…
難しいと思うと、苦手意識が膨らみますよね…
いっそ、譜面に頼らない方が聞くことに集中できるような気がします(b^ー°)
by まりうす (2012-03-24 01:34)
まりうすさん、恐れていた一言ありがとうございます。
それで本当のところを言いますと、コーラスの譜面に限定するならピアノの楽譜のように複雑ではないのと、同じバスに頼りのTさんがいますので、何とかなっています。
最近の練習では、やっと「全体を聴く」という感覚が芽生えてきたので、周囲の音に集中するようになりました。
問題は、耳を頼りにその全体に調和するようなバスを歌えばいいのでしょうが、それだけだとバスのつもりで知らぬ間にテノールを歌っていたりすることもあるみたいなので、今の私にはまだまだ譜面も必要みたいです。
by まいな (2012-03-24 11:10)