宮沢賢治の音楽

昨年の１１月にNHKで「宮沢賢治の音楽会」という番組が放映されました。賢治にゆかりのある場所を訪れながら彼の音楽作品を紹介するという内容です。

じつは彼に音楽家の一面があったことはあまりよく知らず、趣味でチェロを弾く人程度の認識でした。

私の中の彼は
　有名な詩人、小説家
　地元の農業への貢献
　法華経を信仰し、独特の宇宙観を持っていた
　大切にしていた妹が若くして病死し、そのこともあり女性を避けいていたらしい
このような感です。

生み出した作品の数は決して多くないようですが、番組ではその中の何曲かが紹介されました。今も地元の人たちが彼の歌をとても愛し、歌い継がれているのですね。

どれも短い素朴な曲ですが、詩がいいです。その中で私が特にいいなあと思った曲の歌詞をご紹介します。

「花巻農学校精神歌」というタイトルでとても格調高い曲です。番組中では歌手の一青窈さんが歌っていました。曲が完成したとき、その素晴らしさに「是非校歌にしたい」と当時の校長が要望したが、賢治は「そういうつもりで書いた曲ではないから」と断ったという話です。

（一）日ハ君臨シ　カガヤキハ
　　　白金ノアメ　ソソギタリ
　　　ワレラハ黒キ　ツチニ俯(ふ)シ
　　　マコトノクサノ　タネマケリ

（二）日ハ君臨シ　穹窿(きゅうりゅう)ニ
　　　ミナギリワタス　青ビカリ
　　　ヒカリノアセヲ　感ズレバ
　　　気圏ノキハミ　隈（くま）モナシ

（三）日ハ君臨シ　玻璃（はり）ノマド
　　　清澄ニシテ　寂（しず）カナリ
　　　サアレマコトヲ　索（もと）メテハ
　　　白堊（はくあ）ノ霧モ　アビヌベシ

（四）日ハ君臨シ　カガヤキノ
　　　太陽系ハ　マヒルナリ
　　　ケハシキタビノ　ナカニシテ

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